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嘔吐恐怖症

現在まで多くのご相談をお受けしている嘔吐恐怖症ですが、多種多様なご相談の中でもなかなか克服が難しいご相談の一つだと感じております。

嘔吐恐怖(おうときょうふ)には、共通する同一の恐怖や不安もありますが、人によりさまざまな異なった恐怖や不安がありますのでひとつにまとめることができません。

嘔吐恐怖をより詳しく知り、少しでも克服のお役にたてられますように説明していきます。

目次

嘔吐恐怖症とは何?

嘔吐恐怖症は、自分が嘔吐することや他人が嘔吐することによって強烈な恐怖感情が出てしまう症状です。

米国精神医学会のDMS-Ⅳ-TRでは特定される恐怖症として分類されており、パニック障害や対人恐怖症などが関連していることも少なくありません。

ご相談の経験からその恐怖の強さは、「死んだほうがマシ」と思うほどの強烈さがあります。

経験されていないとわからない恐怖になりますので周囲の人の理解が得られにくく、苦しみが二重に重なってしまうケースも少なくありません。

つわりが怖いために妊娠や結婚も諦めてしまうといったほどに人生を歩んでいく上で支障になってしまいます。

以下に様々な嘔吐恐怖を紹介いたします。

自分が嘔吐することへの恐怖

自分が嘔吐することへの恐怖があります。

あの嫌な感覚、匂い、気持ち悪さなどが恐怖と関連付けられ、自分が吐くことが恐怖になります。

絶対に吐かない!!と決めるくらい自分が嘔吐することに強い恐怖を感じる場合もあります。

自分が吐く事に対する恐怖ですが、細かく見ていくとさまざまなところが人によって違いがあります。

吐き気が一番怖い、嘔吐で我慢する時間が怖い、また吐けないのが怖い、吐けるかどうかわからないのが怖いなどがあります。

長年吐いていない場合も多く、なかなか吐くことが難しい状況の方も少なくありません。

自分が吐けるかどうかわからない恐怖

長年吐いていない場合もあって、自分が吐けるかどうかわからない恐怖で苦しんでいる状況の方がいます。

予期不安のように吐けるかが気になったり、不安や恐怖が出る場合もあります。

吐きたいのになかなか吐けないという状況から「また起きたら吐けるだろうか」と悩んでしまうことが少なくありません。

吐く決断ができず、収まるまでの苦悶の時間への恐怖

吐く決断ができなくて、苦悶するあの時間が怖いというケースがあります。

本来であれば自然に嘔吐することでからだをラクにできるものですが、絶対に吐かないようにすることもあって自然に逆らう苦悶の時間になります。

吐く決断ができないのも長年吐いてなければ簡単ではありません。

嘔吐する際、つまってしまうのではないかという恐怖

嘔吐する際にしっかり吐き出せないかもしれないという恐怖を持っている場合があります。

吐き出す力と吐きたくない力が拮抗してしまうのではないか?という不安があったりします。

自分が吐けなかったあとの苦しみの恐怖

吐かないことを決めたけど吐けなかったあとの自分の情けなさや不甲斐なさ、惨めさなどを感じるのが怖いというケースがあります。

嘔吐恐怖が長期化してくるとこのみえない苦しみが恐怖を助長させてしまうことがあります。

嘔吐の苦しさへの恐怖

吐く前、上がってくる時、吐いている時、吐いた後それぞれの恐怖があります。

吐く前のあの感じ、感覚が恐怖、あの上がってくる苦しさや気持ち悪さが怖い、吐いている時の息が苦しいあの感じ、感覚、臭い、音が怖い、吐いたあとのあの臭い、吐瀉物が怖いなどがあります。

ひとによって臭いは大丈夫、音は大丈夫、吐いてしまえば大丈夫などという場合もあります。

特に恐怖で多いのが「吐く前から吐くまで」でした。(ご相談内容から)

嘔吐の処理の恐怖

トイレで吐ければ流すだけなので問題ありませんが、外食中や乗り物などでトイレで吐けない可能性がある場合にとても強烈な恐怖や不安がでることがあります。

吐いてしまったらどうしよう。。。という恐怖と不安が社会生活に支障をきたしてしまいます。

また家族(ご主人や子供)の吐瀉物を処理する恐怖がある方がいます。

臭がダメ、見るのもダメ、パニックになるというように違いもあります。

他人が嘔吐することへの恐怖

あの苦しそうな音、苦しそうな姿などが恐怖で想像するだけでも怖かったりします。

飲み会や夜道などは嘔吐される他人と出会うことが多いため不安や恐怖が出やすかったりします。

ご主人がお酒を飲まれて帰宅したり、子供さんが胃腸風邪などで吐き気を催すなどのシーンでは強い恐怖や不安が出ることもあります。

音や悶える姿などもありますが、吐瀉物の処理が怖くて他人が嘔吐することへの恐怖が出ていることもあります。

目で見るのが怖い

あの悶え苦しむ姿を見ることが怖いといった場合があります。

恐怖を想起させる視覚の記憶が定着していることが考えられるかもしれません。

あの苦しそうな声を聞くのが怖い

あの苦しそうな声を聞くのが怖いという場合があります。

恐怖を想起させる聴覚の記憶が定着していることが考えられるかもしれません。

あの嫌な匂いを嗅ぐのが怖い

あの嫌な臭いを嗅ぐのが怖いという場合があります。

恐怖を想起させる嗅覚の記憶が定着していることが考えられるかもしれません。

パニックになってしまうのが怖い

どうしたらいいかわからなくなってパニックになってしまうことがあります。

吐き気が出たときや嘔吐に関連するものが身近になったときに出やすくなります。

そのパニックも恐怖であり、パニックへの予期不安と嘔吐への予期不安が重なり、日々の生活に支障をきたしてしまうことがあります

対処できるかどうかわからなくて恐怖

嘔吐や吐き気に対処できるか不安であったり、恐怖を感じることがあります。

また家族の嘔吐や吐き気に、吐瀉物への対処ができるかどうかわからないことから不安になったり、恐怖を感じることがあります。

つわりが怖い

嘔吐や吐き気につながりやすい「つわり」に恐怖を感じる場合があります。

それによって妊娠や結婚を諦めてしまうほどの恐怖であったりします。

子供が嘔吐するのが恐怖

ノロウイルスが流行するシーズンになると不安や恐怖が一気に出やすくなることがあります。

対処する自信がない、お母さんとしてしっかりできない不安も重なり恐怖が強くなってりします。

漠然とした嘔吐恐怖

嘔吐恐怖症なのは自分でもわかるけど、何は怖いか正直よくわからないところがあるという漠然とした恐怖もよくあります。

原因になっているであろうトラウマや記憶などに向き合っていってもなかなかよくならない場合、この漠然とした恐怖があるかもしれません。

特殊なアプローチで少しずつ改善ができる方法があります。

人によって異なる恐怖

自分が吐くのも他人が吐くのも恐怖という嘔吐恐怖症の方もいれば、自分が吐くのは大丈夫だけど他人が吐くのは恐怖という嘔吐恐怖症の方もいれば、自分が吐くのは怖くて他人が吐くのは大丈夫という嘔吐恐怖症の方もいます。

人によって恐怖を感じるところが異なることが多いのも嘔吐恐怖症の特徴です。

嘔吐恐怖から生まれる不安

上記のように人によりさまざまな嘔吐に関連する恐怖があります。

そのあまりに強い恐怖により嘔吐につながりそうなものが気になり、不安(予期不安)になるため日常生活に支障をきたしてしまうことも少なくありません。

嘔吐恐怖から生まれる不安としていくつか説明していきます。

自分の吐き気や胃の調子が気になったり不安になる

嘔吐が怖いために吐き気や胃の調子に敏感になります。

敏感に感じるようにしていくため気になったり不安になることが増えていき、日常生活に支障をきたします。

のどや胃腸はすこし特殊な性質があるため、気になるようになってから調子が悪くなることがあります。

車酔いが怖くなるため乗り物への不安が強くなる

飛行機、電車、車などで「吐き気が来てしまったらどうしよう」「調子が悪くなったらどうしよう」「パニックになったらどうしよう」と強い不安になったり、乗る前に予期不安が出やすくなります。

人によっては乗り物が大きなハードルになっている場合も有り、なかなか乗ることができず社会生活に支障をきたしてしまいます。

逃げられない状況になることが怖かったり、不安になる

逃げられない状況になるシチュエーションが怖くて、そうならないようにしようとしても全てを回避することはなかなかできないものです。

そういった状況になりえそうな時に不安が出てきます。

食べ物や飲み物が気になる(吐き気につながらないか)不安になる

嘔吐に繋がる胃腸の調子が気になります。

その胃腸の調子を悪くしてしまう食べ物や飲み物が気になったりします。

気になっている時に悪くなるんじゃないか?と不安が出てくることがあります。

特に外食が恐怖が出やすく、不安が強くなる傾向があります。

家族の調子が気になる・不安になる

こどもの体調が過剰に気になったり、家族の中で不調和が起きる場合があります。

全ては嘔吐恐怖から過剰な心配や不安が起きることから始まってしまいます。

この嘔吐恐怖は経験していない方は理解することが難しいことが多く、より乗り越えることが困難になることがあります。

漠然とした不安

漠然とした不安が襲ってきたり、何かはわからないけど不安で行動できなくなったりすることがあります。

嘔吐恐怖症の原因

PTSD(外傷後ストレス障害)

PTSD(PostTraumatic Stress Disorder)とは、日本語では外傷後ストレス障害と呼ばれ、危険な状況がトラウマとなりその記憶が1ヶ月以上の期間想起されてしまい、うつ、不安、アルコールや摂食に異常をきたしたりすることがあります。他にも以下のような症状が出ることがあります。

急に恐怖がでてくる
不安に苛まれる
涙が急に出てくる
ぼんやりして頭が働かない
些細なことでイライラしたり怒ったりする
忘れようと思っても忘れられない
急に記憶が蘇ってくる
自信がなくなる
やる気が出ない
行動に支障が出る

トラウマや記憶による嘔吐恐怖

トラウマとは、日本語で心的外傷(英語で psychological trauma)のことを指し、肉体的や精神的な衝撃を受けた事で、長い間それにとらわれてしまう状態や否定的な影響を持っていることなどを意味しております。

嘔吐恐怖のトラウマとなりえる衝撃として以下のようなものが挙げられます。

吐いてはいけないといわれた車内で吐いてしまった
苦しそうに吐いている人を見た
苦しそうに嘔吐している人に何もしてあげられなかった
みんなの前で吐いてしまった
吐いていじめられた
苦しい嘔吐が連日続いた
誰も助けてくれないような孤独で怖い嘔吐体験をした
赤ちゃんの頃の体験
アメをのどに詰まらせた
窒息しそうになった体験

吐けない繰り返しの年月によって

うまく吐けたら恐怖も変化して、嘔吐恐怖の克服になると考えることができてもなかなか吐くことは簡単ではありません。

そういった吐けない体験を繰り返し、どうやって吐くかも忘れてしまうことがあります。

そうして吐かないようにあの地獄のような我慢の時間を過ごします。

そういう方向で努力を積み重ねていくことによって嘔吐を回避できますが、嘔吐恐怖を強めてしまうことがあります。

パニックによる嘔吐恐怖

嘔吐も怖いけど、パニックになるのも怖いというケースもあります。

また嘔吐恐怖だと思っていたら、嘔吐は多少怖いもののパニックが一番の恐怖だったということもあります。

嘔吐恐怖を克服するうえで、パニックをいかに上手く扱うかというところも大切になります。

脳の誤作動(誤解)による嘔吐恐怖

言語化して嘔吐の何が怖いかわからない、といった場合に脳がなんらかの理由により嘔吐を非常に怖いものだと認識してしまい、からだの反応もその恐怖に比例した強さとなり、心理的にはなぜか非常に怖いという現象になってしまうことがあります。

記憶による誤作動(誤解)は、例えばこのようなものがあります。

赤ちゃんの頃、抱っこしてもらっていたら大好きなおじいちゃんが部屋に入ってきた(赤ちゃんから見えた)。

その瞬間に謝って抱っこしてくれていた誰かが赤ちゃんを落としてしまった。

赤ちゃんはそれ以降、おじいちゃんを見ると泣くようになった。

幼ければ幼いほどこのようなことが起きます。

普通に考えれば落とした人が悪いのですが、幼ければそのことがわからない場合があります。

おじいちゃんを見て、床に叩きつけられる激痛を味わうことで関連付けられ、おじいちゃんを見るたびになぜか怖くなってしまいました。

強迫的な影響による嘔吐恐怖の悪化

強迫的に自分にプレッシャーをかける場合も嘔吐恐怖を強めてしまうことがあります。

吐けなかったら吐けなかったでいいや。

という気楽さが改善に役立つことがあります。

絶対こうしなければいけないという強迫観念が様々なところで自分を苦しめてしまいます。

性格なので変わらないという考えもあるかもしれませんが、うまく扱えれば穏やかになったり、うまく扱えるようになったりもします。

普通の人との強い比較

普通の人はできているのだからこれくらいできなきゃという比較が強い場合、嘔吐恐怖を強めてしまいます。

原因がわからない恐怖

なんでこんなに怖いのかわからないケースが比較的多くあります。

そのわからない恐怖によって恐怖や不安が大きく助長されてしまうこともあります。

原因が少しみえてきたり、そういうことだったんだ!と納得していくことによって恐怖や不安が薄らいでいくことがしばしばあります。

嘔吐恐怖の治療法

上記の原因に対してカウンセリングや心理療法・行動療法などでアプローチしていくことで改善が期待できます。

薬物による緩和

抗不安薬や漢方薬などによって嘔吐に関連する恐怖や不安を抑えていく薬物療法があります。

暴露療法(ばくろりょうほう)

恐怖を段階的に慣れていくことによって恐怖を克服していく方法です。

文字からイラストへ、イラストから写真へ、写真から動画へなど。

認知行動療法

心理療法と行動療法が組み合わさった療法です。

様々な手法や方法があり、効果が期待できます。

順化(馴れて行く)

とってもシンプルですが、とても強力です。

順化するためには、慣れようという意志がなければ難しいものです。

脳の誤作動に対するアプローチ

この脳の誤作動によるもので嘔吐恐怖が強くなっている場合、さまざまなアプローチで誤作動を解除していくような手法を本カウンセリングでは用います。

その他

その他にもさまざまな方法があります。

嘔吐恐怖症専門カウンセリング

カウンセリング・心理療法

・嘔吐恐怖症で困っている
・なかなか治らない、改善しない
・いろいろやってみたけどうまくいかない
・そろそろ改善したい、治したい
・もう少し嘔吐恐怖症を理解したい
・日常生活に支障がでている
・家族の理解が得られない
・全国どこからでも相談できるところを探している
・嘔吐恐怖症の症例経験の多いところへ相談したい
・自分のペースにも合わせて欲しい
・専門カウンセリングを受けたい

嘔吐恐怖症は本当に難しいケースが多く有りますが、一歩一歩勧めてみていくことで徐々に徐々に不安と恐怖が減り、安心と安定が作られていきます。

当カウンセリングでもご相談の多かった嘔吐恐怖ですが、一歩ずつ進めば見える景色が変わっていきます。

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